食品メーカーに聞く食物アレルギーに対する取り組み

食品メーカーに聞く食物アレルギーに対する取り組み

子どもたちが大好きなカルビーだからこそ。
徹底した掃除から始まる
安全安心のつくり方




●お話をうかがった方々
カルビー株式会社 品質保証本部 品質審査部 品質規格課
大河原あゆみさん(写真 左)

カルビー株式会社 総合企画本部 カスタマーリレーション部 
お客様相談室 管理栄養士
宮川亜希乃さん(写真 右)

アレルゲン対策プロジェクトでの さまざまな取り組み

ーー今回は子どもたちが大好きなお菓子メーカーであるカルビーさんに、食物アレルギー対策への取り組みについて伺います。御社は2006年から2008年まで「アレルゲン対策プロジェクト」を設立、活動されました。ここではどのような取り組みが行われたのでしょうか。

大河原 私どもの商品はとにかくラインアップが多く、ポテトチップスだけでも年間を通じて約400アイテムほどを管理しています。2002年から商品にアレルギー表示、コンタミネーション表示を行うようになっていましたが、各アイテムには専用の製造ラインがないので、実際にラインでコンタミネーションが起きているかどうか、全国のポテトチップの工場を調査したのです。そのとき、一部のラインに清掃の不徹底があり、わずかなコンタミネーションが見られました。これは対策をしなければならないと考え、「アレルゲン対策プロジェクト」を開始しました。ここで取り組んだのは「商品開発サイドでのアレルゲンの使用制限」と「工場でのアレルゲンのコントロール」の2つです。


ーー商品開発サイドでのアレルゲンの使用制限とは?

大河原 たとえば「じゃがりこ」の場合、地域限定などを含めると本当に色々な種類の味がありますが、原材料には必ず脱脂粉乳やホエイパウダーなどの乳を使用するという共通ルールを作っています。現在のラインは分解洗浄することができない部分もあるので、乳の成分が残る可能性もあります。すべての「じゃがりこ」に乳の成分が入っているという前提にすれば、コンタミネーションを防げるのですね。「かっぱえびせん」も同様に色々な味の製品がありますが、小麦を共通して使っています。


ーー工場での取組みはどのようにされていますか?

大河原 たとえばポテトチップスは1つのラインで1日何アイテムも作ります。そこでまず生産順をコントロールし、最初はアレルゲンのないものから製造します。順を追って、アレルゲンの多いものへと移行していくようなルールを作り、工夫しています。

コンタミネーションを防ぐための清掃

ーーコンタミネーションを防ぐには、やはりラインの清掃が重要だと思います。対策はどのように取られているのでしょうか?

大河原 ラインの包装工程は女性従業員が多く、一方、包装機のパーツは重くて、大きくて、とても女性の力では分解清掃ができなかったのです。そこで包装機メーカーさんと相談しながら、洗いやすい形にパーツの改善をしたり、設備そのものをかえたりもしました。また、清掃後の確認も大切です。いったん決められた手順で清掃をしたあと、清掃しにくい場所をターゲットに数カ所をピックアップし、たんぱく質検出キットを使って、汚れが残っていないかどうかをチェックします。そこで汚れが確認されたら、また清掃です。最終的にたんぱく質が検出されなくなるまでくり返し清掃をする、という決まりを作って行っていました。


ーーたんぱく質検出キットでの検査は1日1回ですか?

大河原 アレルゲン濃度の高い製品を作ったあと、アレルゲンの入っていないものを作る、あるいは異なるアレルゲンのものを作るという時には、必ず一度、アレルゲン対応の清掃をして、たんぱく質検出キットを使います。ですから1日に何度も検査する場合があります。ただしポテトチップスのラインはもっとも取り組みが早く、清掃の方法が標準化できたので、現在、たんぱく質検出キットの検査は省いています。そのかわり、年に一度、抜き打ちで製品を外部検査に出し、コンタミネーションが起きていないかどうかをチェックしています。


ーーアレルゲン対応の清掃というのは、やはり手間がかかりますか?

大河原 そうですね。通常の清掃だと15分、20分といったところですが、アレルゲン対応の清掃はほぼ1時間かかります。ですから、この取り組みを導入するときには、当時のお客様相談室担当の役員が全工場へ出向いて、アレルギーについての啓蒙活動を行いました。普段の生産活動や清掃が、お客様の命を守ることに直結するんですよ、と。それを理解して、みんなで一丸となってやらないといけないことなのですね。また一部の工場では、ある特定の掃除については免許制にしています。免許のない人は、そこの部分の清掃はできないというしくみです。

パッケージデザインから食物アレルギーを考える

ーー商品のアレルゲン表示で工夫されていることはありますか?

宮川 原材料名のところに7品目(えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生)と任意項目である18品目をすべて表示しています。平成25年9月に追加されたごまとカシューナッツについては、平成26年9月1日から、すべての商品に表示できるよう、現在、パッケージの切り替えなどを行っています。


ーー他社の事例なのですが、以前食べて大丈夫だったからと同じ商品を買ったつもりで子どもに食べさせたら、乳が入っていてアナフィラキシーが起きたということがあります。パッケージがよく似ていて、勘違いしたのですね。御社も非常に商品が多い中、パッケージデザインについてはどう取り組んでおられますか?

大河原 原材料名表示とコンタミネーション表示の両方を行っていて、私たちからすれば問題がないというつもりでいても、パッケージデザインによる誤認でお客様に事故が起きないとも限りません。ですから昨年、商品開発のルールを改めて整理しました。リニューアルのときでもアレルゲンは変えない、またはアレルゲンが変わる場合、パッケージのデザインなどを変えて、お客様が見間違わないような工夫をしています。


ーーカルビーの製品にはお客様相談室への電話連絡先がわかりやすく書いてあります。やはりアレルギー相談は多いですか?

宮川 週に20件ほど。年間にして1200件くらいあって、年々増加しています。疑問点があれば、まず電話をしていただけたらと思います。商品に関することは、できるかぎりお調べしてお答えしています。ごま、カシューナッツについてもお答えしておりますので、お気軽にお問い合わせください。ただ体調や食物アレルギーのことは、かかりつけの医師にご相談ください。


ーー商品の原材料名をホームページに記載しないのは、なぜでしょうか?

宮川 商品の数そのものが非常に多いことに加え、リニューアルが頻繁に行われるので、原材料表示をウェブに載せるのが中途半端になったり、古い情報が残ってしまうおそれもあるので掲載していません。お客様には不親切のように見えるかもしれませんが、やはり安全のためにも1件1件、お問い合わせいただき、その都度、丁寧に対応させていただくようにしています。


ーー食物アレルギーに対する御社の取り組みがよくわかりました。本日はありがとうございました。

                             (取材:水上香織  文・写真:馬場千枝)

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